第6話:偽りの再出発と、完成した「軍資金源」

【実録】ギャンブル破滅物語:自己破産への軌跡

一年も留年した挙げ句、就職も決まらずに帰ってきた息子。

そんな俺を迎える両親の顔は、隠しようのない苦渋に満ちていた。

「お前はもう若くないんだぞ。一刻も早く仕事を探せ」

その言葉が、耳の奥に突き刺さる。

​過去の父に反論しても仕方のないことだが、今振り返れば、当時の俺はまだ十分に若かった。新卒ではないが、大きな借金があるわけでもない。可能性なんていくらでも転がっていたはずだ。

​だが、当時の俺にとっても「手遅れだ」という焦燥感しかなかった。留年した上に「新卒チケット」で就職にこぎつけず、親の期待を裏切り続け、嘘を重ねてきた負い目が、俺の背中を無理やり押し出していた。

​職業訓練と、綱渡りの「一人暮らし継続」

​とにかく、就職して居場所を作るか、家を離れるかしたい。

そんな思いで必死にネットを検索していた俺は、「職業訓練」という存在を知る。

​訓練手当としてお金が貰える。しかも実施企業は少し離れた街にあり、そこなら一人暮らしも継続できるかもしれない。親に相談すると理解を得られたため、俺は再び、実家の息苦しさから逃げ出すことに成功した。

​だが、環境が変わっても、俺の頭の中は変わらなかった。

手元に金が入れば、真っ先にホールへ向かう。

負ければ、その月の食費を削り、ひもじい思いをしながら次の給料日を待つ。

本当に首が回らなくなれば、また親に泣きついた。

​だが不思議なことに、この時の俺の中に「借金」という選択肢はなかった。一応、収入と認められれば借金もできたはずなのだが、学生ローンの完済以来、「もう金は借りるまい」という思いがどこかにあったのかもしれない。

「借金さえしていなければ大丈夫」という免罪符を握りしめながら、その日暮らしの限界ギリギリを、綱渡りのように歩き続けていただけだった。

​短い試用期間と、逃げるように決めた工場

​職業訓練が終わり、斡旋された仕事はあったが、「自分がやりたいことではない」と断った。

代わりに自分で見つけた小売店に就職したが、会社の雰囲気も、接客という仕事も、俺の肌には全く合わなかった。

結局、試用期間の途中で逃げるように辞め、再び実家へと舞い戻った。

​親の焦りは、いよいよピークに達していた。

俺自身も、実家で肩身の狭い思いを続けるのが限界だった。

「とにかく、どこでもいい。仕事さえ決まれば、この空気から解放される」

​そんなくすぶった投げやりな気持ちで合同説明会に足を運び、地元の小さな工場への就職を決めた。やりがいも、将来性も、深くは考えなかった。

ただ、規則正しく働き、給料が貰えれば、それでいい。

​完成した、巨大な「軍資金源」

​安定した給料。実家という拠り所。

一見、ようやく人並みのレールに乗ったかのように見えた。

両親も、安堵の表情を見せていた。

​だが、その平穏な日々の裏側で、俺の脳に焼き付いた「報酬への渇望」は、かつてないほど激しく脈打ち始めていた。

​実家暮らしで、安定した収入がある。

それは依存症の俺にとって、これまでより遥かに大きな金額を、より安定してホールへ流し込むための「巨大な軍資金源」が完成したに過ぎなかった。

​人並みのレールのその先に、とてつもない地獄が口を開けて待っているとも知らずに、俺はようやく、人より遅い社会人生活を始めようとしていた。

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