第13話:親の血肉と、偽りの平穏

【実録】ギャンブル破滅物語:自己破産への軌跡

本記事は私、泥谷の過去の体験に基づいた備忘録です。過去のギャンブル依存症による深刻な債務状況を告白するものであり、借入れや返済の滞納、および安易な肩代わりを推奨するものではありません。依存症の恐ろしさを知っていただくための備忘録としてお読みください。

​250万円。

その膨大な数字を埋めるために、親は奔走した。

​俺自身は、もし可能なら「債務整理」をして、公的にケジメをつけようと考えていた。だが、親は違った。息子に「事故情報(ブラックリスト)」という傷をつけたくない、将来ローンが組めなくなるような不利益を負わせたくない……。そんな一心で、彼らは仕方なく俺の尻拭いを買って出たのだ。

​父が長年勤め上げて手にした貯金、母が汗水垂らして働いた貯金。

二人が人生の時間を切り売りして積み上げてきた結晶を、俺はパチンコ台の液晶の中に、一瞬で無に帰した。

​だがこの親心が、後にさらなる悲劇を呼ぶことになるとは、この時の両親はもとより、俺自身ですらまだ知る由もなかった。

返済の日、俺に自由はなかった。

親の車に乗せられ、「監視」されながら地元のATMを回った。当然のことながら、今の俺に大金を持たせるとまた何をするか分からないという不安からである。俺への信頼は地に落ちていた。

​父から手渡された封筒。そこにある札束の重みを、俺はズシリと感じた。

​ATMの前でカードを挿入した際に出る忌まわしい数字を見て、周りを気にしながらそそくさと大金をセットする。

「ガガガッ」と、機械が紙幣を吸い込む無機質な音。

その音を聞きながら、俺は自分の愚かさをただ噛みしめるしかなかった。

​「(これで、全部だ…)」

​親のおかげで、借金はすべて消えた。

あの、朝から晩まで督促と利息計算に追われ、胃を灼かれるような日々が、嘘のように終わったのだ。

​静寂と、再出発の誓い

​嵐が過ぎ去った後の家の中は、ひどく静かだった。

親からの冷たい反応は続いていたが、罵詈雑言の嵐も止み、残ったのは深い疲弊と、失われた信頼という名の空白。

​俺は自分の部屋で、スマホを握りしめた。

​(もう二度と、こんな地獄は味わわない。親に味わわせない)

​スマホからギャンブル関係のものを可能な限り排除した。

これからは真面目に働き、親に少しずつでも金を返し、失った信用を一生かけて取り戻していく。

そう、心に深く、深く刻んだ。

​金融会社への借金がゼロになった瞬間、脳の中に巣食っていた「悪魔」も一緒に消えてくれたのだと、本気で思っていた。

​忍び寄る「凪(なぎ)」の恐怖

​平穏な日々は、確かに数ヶ月続いた。

​だが、生活から「借金」という巨大な重圧が消えたことで、俺の心にはぽっかりと穴が開いた。平穏であればあるほど、その穴から「退屈」という名の隙間風が吹き込み始める。

​それだけではない。その隙間の奥底で、「次こそは失敗しない。散々苦しめられたギャンブルで、今度こそ一矢報いてやる」という歪んだ炎が、静かに燃え上がり始めていたのだ。

​親に泣いて謝り、頭を下げて肩代わりしてもらった。その事実は、借金が消えた後もなお、俺のプライドをじわじわと削り続けていた。

​「親に返してもらった金」ではなく、「自分の力で勝ち取った金」で親に金を返し、失った面目を保ちたい。今思えばあまりに愚かな、そんな歪んだ思考が頭をもたげる。

​地獄の記憶が薄れ、脳が「あの刺激」を強烈に思い出し始めるまで、そう時間はかからなかった。

​完済という成功体験は、時に、最悪の再犯への招待状になる。

​ましてや、自分以外の誰かが用意した金で清算した場合、その重みを忘れるのは驚くほど早い。

​俺の人生を本当の意味で終わらせる、二度目の転落。

そのカウントダウンは、返済を終えたその日から、すでに始まっていた。

※ここからは物語の本筋とは逸れ、管理人から読者様へのお話となります

​管理人の泥谷より読者の皆様へ

​ここまでお読みいただき、ありがとうございます。管理人の泥谷(どろや)です。

当ブログを想定よりも多くの方に見ていただけており、密かに大きなモチベーションを頂いています。本当にいつもありがとうございます。

​最初からお読みいただいている方や、少し勘の鋭い方で今回の物語をお読み頂いた方ならお分かりかと思いますが、このブログ名『800万のリアル』が示す通り、私の転落劇はここでは終わりません。

​「なぜ、親に助けてもらったのに、私はまた地獄へ戻ったのか」

​実を言うと、この時親がしてくれた「250万円の肩代わり」こそが、私のブレーキを粉々に破壊し、最終的な800万円の破滅へと加速させる最大の引き金となってしまいました。

​もし今、借金で悩まれている方ご本人や、ご家族やご友人の借金問題で悩んでいる方がいれば、私と同じ過ちを絶対に繰り返してほしくありません。「どの立場でそんなことを言っているんだ?」というご意見は、まさにその通りだと思います。

​ですが、誰よりも近い場所で家族を地獄に突き落とした自覚がある私だからこそ、伝えられることもあると思っています。

​物語の本筋とは少し逸れますが、現在借金で悩まれている方ご本人や、ご家族や恋人やご友人の借金問題で悩んでいる方に、どうしてもお読みいただきたい内容を別ページにまとめました。

​よろしければ、こちらも併せてお読みいただけると幸いです。

引き続き、当ブログをご覧いただけると嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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