第21話:鳴り止まぬ恐怖と、削り取られる居場所

【実録】ギャンブル破滅物語:自己破産への軌跡

ついに、その日が来た。

法外な利息を別の「先払い買取」で補填する。そんな狂った計算が、いつまでも成り立つはずがなかった。

滞納

その二文字が、音もなく俺の生活のすべてを飲み込んでいった。

​事務員への告白、届かない声

​消費者金融、クレジットカード、後払い、そして先払い買取の違約金。

あらゆる支払いが一斉に滞る。

​特に「先払い買取」を装った闇金に、違約金の支払いを迫られる。もし滞納をすればどのような手段に出てくるのか…

ネットの掲示板で見た、「職場への嫌がらせ」という不穏な言葉が、もはや他人事ではなく、現実の脅威として俺の首筋に刃を突きつけてきた。

そもそも、契約時に会社の番号から連絡させられているのだ。支払いが止まれば、そこに逃げ場なんて最初からなかった。

​「本当に、電話なんてかかってくるのか……?」

ネットには『何もなかった』という書き込みもあったが、もし本当に鳴ったら? そう思うだけで鼓動は早まり、喉の奥が引き攣った。俺は現場職だ。事務所の電話に直接出ることはできない。

​この件で迷惑をかけることになったら他の社員にも知れ渡り、大ごとになりかねない。そう予感した俺は最悪の事態を避けるために先手を打つことにした。朝、たまたま現場に用事で出てきた事務員を呼び止めた。

​「実は……ヤバいとこから借金があって、会社に迷惑な電話が行くかもしれません。申し訳ないのですが、取り次がないでください」

​絞り出すような俺の言葉に、その方は立ち止まり、静かに言った。

「……詳しく聞かせてもらっていい?」

​親にすら言えていない二度目の破滅を、最初に他人に告白した瞬間。

その方は黙って俺の醜い事情を聞き、「対応しておきます」と言ってくれた。

​不思議なことに、絶望のどん底にいながら、誰かに話したことで少しだけ胸のつかえが取れたような感覚があった。一人で抱え込み、嘘を塗り重ねる重圧から、一瞬だけ解放されたのかもしれない。

​見えない電話の音、消える日常

​だが、安らぎは一瞬だった。

現場に出ている間も、心は事務所の電話の音に縛り付けられていた。

「今、鳴っているんじゃないか?」「事務の人はどんな顔をして対応しているんだ?」

​必死に考えないようにして、泥を払うように仕事をする。「もしかしたら、何事もなく済むかもしれない」――そんな淡い期待に縋る。

だが、現実は残酷だった。

​後で聞いた話では、案の定、職場には複数の業者から電話がかかってきていたらしい。正規の金融機関ではあり得ない、勤務先への取り立て。

自分がその当事者になっていることが、どこか映画のワンシーンのように現実感がなかった。

放置すれば、明日も、明後日も、この電話は鳴り続けるのか?

その恐怖が、俺の精神を確実に蝕んでいった。

​俺の知らないところで、俺の居場所は着実に、完膚なきまでに削り取られていった。

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