本記事に記載されている「クレジットカードのショッピング枠の現金化」は、カード会社の規約で厳格に禁止されている行為です。利用停止や一括返済、さらには法的トラブルに発展する非常に危険なリスクを伴います。本記事は過去の依存症による過ちを告白するものであり、これらの行為を推奨する意図は一切ありません。絶対に真似をしないでください。
自己破産の手続きが始まり、債権者からの督促が止まった。家の中には「再び」偽りの平穏が訪れていた。
俺は…もう何度目か分からないが親にキャッシュカードを預け、わずかな小遣いで生活する「更生者」を演じていた。だが、いつも通り喉元を過ぎれば熱さを忘れる。
パチンコ屋の前を通りかかったとき、あの騒音と光が、俺の脳の奥底に眠っていた魔物を呼び覚ました。
「少しだけなら……バレなければ大丈夫だ」
数千円の小遣いを握りしめ、ソワソワしながら入店する。案の定、金は一瞬で溶けた。
「取り返さなきゃ、終われない」
強烈な衝動に突き動かされ、俺はネットで金策を探した。するとあるクレジットカードの審査をすり抜けるような金策があると知り、それに手を出してしまった。それを現金化した上でパチンコで勝ち、カード料金を支払えば問題ないと考えたのだ。
今思うと、勝っても負けてもどの道取り返しがつかないことになるかもしれないのに、本当にどうかしていたと思う。
結果は、当然のごとく負けた。
少しの出来心だった。負けて失った小遣いくらい取り返してすぐに返済すればいい。そんな身勝手な目算は一瞬で崩れ去り、手元には管理された小遣いでは支払えない負債だけが残った。
最悪だったのは、そのタイミングだ。まさにこれから、俺の人生を左右する「破産管財人」が選任されようという、絶対に不祥事を起こしてはならない時期だったのだ。
見えない監視者:破産管財人
借金の理由がギャンブルである以上、俺の破産は「同時廃止」という簡易的な手続きでは済まなかった。裁判所から選ばれた弁護士「破産管財人」がつくことになった。
破産管財人は、俺の敵でも味方でもない。中立の立場で、俺の全財産を調査し、債権者に配分し、そして何より「免責(借金の帳消し)を与えてもいいのか」を判断する存在だ。
数ヶ月に一度、管財人の事務所へ呼び出され、面談が行われる。
通帳の金の動きをすべてを晒さなければならない。
逃げ場はない。管財人の判断次第で、俺の人生の再起への道は閉ざされる。そんな極限状態にありながら、俺はあの日、またしてもパチンコのハンドルを握ってしまったのだ。
呆れる弁護士と、母の祈り
当然、親にバレるのに時間はかからなかった。
支払額自体は、今までの借金に比べれば決して大金ではなかった。だが、給料をすべて親に管理され、日々の仕事と破産手続きに追われていた俺には、そのわずかな一括払いすら工面する術がなかった。
結局、支払いは滞り、自宅に届いた一通の督促状。(※この督促状は新たな債権者からのものなので普通に家に届く)それが決定打となり、俺の裏切りはすべて白日の下にさらされた。
激怒する父にすぐ電話するように促され弁護士に電話をする。
あの立派になった弁護士に、俺は再び「裏切り」を告白しなければならなかった。彼は呆れ果てたような、あるいは哀れむような声色でこう言った。
「やらないように言いましたよね?…嘘をつくのが一番心象を悪くします。やってしまったことはどうしようもないので管財人に聞かれたら、正直に話してください」
そう弁護士に言われやったことの重大さに後悔し、その不安に押し潰されそうになりながら、その後、管財人が決まり、面談を繰り返した。
結果から言えば、その管財人は淡々と事務的に仕事をこなすタイプだったからか、何かほかの理由があったからなのか定かではないが俺の数万円の「穴」に深く踏み込んでくることはなかった。
あとで知ったことだが、俺が自分の不始末に怯えている裏で、母はもっと必死だった。母は俺の免責が下りるように、密かに神社へ通い、神頼みを繰り返していたという。
550万もの負債を背負い、二度も家族を裏切り、その手続き中さえギャンブルに手を出したろくでなしの息子のために、母は手を合わせ続けていたのだった。
情けなくて、申し訳なくて、言葉も出なかった。
審判の日
それからは、流石の俺も死んだように静かに過ごした。
決められた小遣いの範囲で過ごし、家計簿をつけ、管財人の面談をこなし、ひたすら嵐が過ぎるのを待った。
そして、いよいよ「裁判当日」を迎えた。
「免責」が認められれば、550万円の借金は消える。認められなければ、俺に明日はもうない。
一人の男の人生が、法の下で裁かれる。
【※重要な追記:読者の皆様へ】
自己破産の手続き中に「新たなカード発行」や「ギャンブル」を行うことは、法的に「免責不許可事由」に該当する極めて危険な行為です。
本来であれば、発覚した時点で免責は下りず、一生借金を背負い続けることになってもおかしくありませんでした。
借金に苦しみ、この記事に辿り着いた方もいらっしゃるかもしれませんが、手続き中のギャンブルやカード発行は、自らの人生を完全に終わらせかねない行為です。 決して真似をしないでください。依存症という病の恐ろしさを知っていただくための、反面教師としての記録です。

