第16話:でっち上げた正当性と、通過点の100万円

【実録】ギャンブル破滅物語:自己破産への軌跡

​「99%当たる!」「帯封(100万円)狙い!」

ネットの海には、そんな威勢のいい言葉が溢れていた。一レース数千円の予想代。

机上の必勝法で大敗を喫して以降、俺は調子の良さそうな予想屋を適当に買い漁っていた。

ココモ法に絶大な期待を寄せていた分、それが崩れたことで半ば自棄になっていたのだ。

​「これだけ自信があるなら、一回くらい乗ってみるか…」

そんな根拠のない期待が、俺のなけなしの金を奪い去っていく。

​当たらない。驚くほど、当たらない。

「すみません、次は当てます。」

外したことを何とも思っていないような定型文の謝罪が届くたびに、俺の心は摩耗していった。

「ふざけるな……99%外しておいて、次なんてあるか!」

​怒りに任せて別の予想屋に飛びつき、また外す。その繰り返しだった。

当然「99%」なんてのは適当な数値だ。競艇の結果に絶対などない。分かっている、分かっているつもりだった。でも、すがってしまう。1%の言い逃れの余地を残している設定すら、外した後だと猛烈に腹立たしかった。

​高額な予想がダメならと、リアルタイムでやり取りしてくれる予想屋に移行した。それだけで謎の安心感と説得力を感じたからだ。だが、誰も彼も本当に当たらない。

そして、決まって一言。「すみません」

​俺からしたら大事なはずの金を背負った予想が外れて「すみません」の一言で済むはずがなかった。だが俺は怒りを必死に抑えつけ、「大丈夫ですよ」と虚勢を張りつつ、また信じて、負ける。

外れた責任を予想屋にぶつけて、自分を正当化する。そんな醜いループから抜け出せなかった。

「予想の購入代金」と、それを回収するために膨らみ続ける「舟券代」によって、淡い期待は無残に打ち砕かれた。

​崩壊した、当たり前の論理

​今なら、冷徹なほど理解できる。

「本当に自分で当てられるなら、人に予想を売る必要なんてない」のだ。

自分で賭ければ、無限に儲かるのだから。

​「人助けのためだ」「予想を売る方が有益な理由があるんだ」……そんな無理やりな理由を自分の中ででっち上げていた。だが、そんな理由は、少なくとも俺が買った予想屋にはどこにもなかった。

何故なら、勝てなかったから。

​こんな簡単なロジックすら、当時の俺の脳は受け付けなかった。いや、気づいていたのかもしれない。けれど、もう「何か」を信じなければ、明日を生きる理由が立たなかった。

​通過点となった100万円

​気づけば、あっという間に消費者金融での借金は3社が天井を迎えていた。パチンコとは借金の速度が違う。レートが決まっているパチンコと違い、競艇の賭け金は上限なしに等しいからだ。

​1度目の借金で100万に到達した時は、視界が歪むほどの衝撃を受けたはずだった。なのに、2度目はまるで通過点だといわんばかりに、俺は平然と借金を重ねていた。

​ついに再び、総量規制の壁が立ちはだかる。

だが、俺の手にはまだ、魔法のカード……クレジットカードが残っていた。

​あまりに大きな負けを短期間で作り、俺は競艇で稼ぐのは無理だと悟り始めていた。

「なんとか金を取り返す方法はないか……」

模索の果てに、俺はついに「禁忌」へと手を伸ばしてしまったのだった。

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